エリア
津田/四和エリア
築年月
1945年8月
移住歴
6年
条件
倉庫,学校徒歩圏内

倉庫のある家でひらく “つくる暮らし”—— 山あいで見つけた大切な時間

2026.01.16

家庭菜園
倉庫付

廿日市市の山側にある一軒の空き家。
金澤さん一家がこの家に出会ったのは、「倉庫のある暮らし」を探していた頃だった。左官職人である奥さんにとって、左官道具を置き、作業ができる場所は欠かせない。しかし一般的な空き家バンクでは「倉庫あり」という特別なカテゴリーはなく、写真を見ながら別棟がありそうな物件を一つずつ探していったという。広い土地と倉庫のあるこの物件を見つけたとき、ふたりは迷わず内覧を決め、掲載から数日で即決した。

倉庫のある暮らしは、家族の時間の流れを大きく変えた。
片付けなくてもいい“作業の場所”がある安心感。住まいと作業空間がゆるやかに分かれることで、気持ちまで整っていく。引っ越してすぐ、この倉庫には「サクトコ」という名前をつけた。“花が咲くように、つくる人がつながる場所に”という想いが込められている。コロナ禍で不特定多数を招くことを控えた時期もあったが、今も家族の制作やDIYの拠点として、日々使われ続けている。

埼玉から移住してきた金澤さん一家にとって、暮らし方そのものも変わった。
以前は預けた子どもを迎えに行く時間に追われ、仕事も慌ただしく区切られていた。しかし今は、夫が家で仕事をしているため助け合えるようになり、家と仕事の境界がやわらかくなった。朝4から5時に起き、静かな時間にパソコン作業をし、その後子どもを起こして9時に出勤。夕方には倉庫で子どもを見ながら作業をしたり、ときには“何もしない日”をつくることで、暮らしに余白を取り戻している。

倉庫は、“家族でつくる時間”の象徴でもある。
テーマのない作業は難しいが、試しながら手を動かす時間が、自分自身を整える静かな営みになる。畑をしたいという旦那さんの希望から生まれた菜園の風景も、暮らしにやさしく溶け込んでいる。
つくることを大切にしたい人にとって、この家は自由と余白を与えてくれる場所。今日も倉庫の中で、静かに手仕事の時間が流れている。